日本版司法取引
日本版司法取引について
日本版司法取引制度とは、検察官と被疑者・被告人およびその弁護人が協議し、被疑者・被告人が「他人」の刑事事件の捜査・公判に協力するのと引換えに、自分の事件を不起訴または軽い求刑にしてもらうことなどを合意するという制度です(刑事訴訟法350条の2~350条の15)。すなわち、協議・合意制度とは、被疑者や被告人(以下「被疑者等」)が、組織的な犯罪において中心的な役割を担った第三者(法文では「他人」という表現)の犯罪を明らかにするため、検察官等に対し、真実に合致する供述をしたり証拠を提出するという協力行為の見返りに、自分の起訴を見送ってもらったり(不起訴処分)、起訴された場合でも軽い求刑をしてもらったりできるようにする仕組みのことです。
いわゆる日本版司法取引とは、組織的な犯罪(企業の関わる経済犯罪等)の解明を目的として導入された捜査・公判協力型の協議・合意制度のことで、米国における同様の制度を参考に、平成28年の刑事訴訟法改正により新設されたもので、2018年6月1日から施行されています。協議には被疑者等だけではなく弁護人も関与することが必要ですし、合意には弁護人の同意が不可欠です(刑事訴訟法350条の3、350条の4)。したがって、この制度において、弁護人の果たす役割は大きく、刑事実務に精通した弁護士の起用は非常に重要となります。
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