事業再生・債権管理Newsletter 2021年8月号を発行いたしました
2021.08.10
事業再生・債権管理Newsletter 2021年8月号を発行いたしました。
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1. マレーシアの再建型手続(弁護士 丸山 貴之)
マレーシアの2016年会社法(Companies Act 2016)では、会社の再建手続として、
① スキーム・オブ・アレンジメント(Scheme of Arrangement.以下「SOA」といいます。)
② 会社任意整理手続(Corporate Voluntary Arrangement.以下「CVA」といいます。)
③ 更生管財手続(Judicial Management. 以下「JM」といいます。)
の3つが用意されています。
本稿では、これら3つの再建手続についてご説明いたします。...(続きはPDFをご覧ください)
2. 破産申立代理人の財産散逸防止義務について(弁護士 和田 祐以子)
1 はじめに
破産手続開始申立の多くは、弁護士を代理人としてなされます。債務者からの依頼を受けて破産手続開始申立の代理人になる弁護士は、委任契約上、その事務処理につき、委任契約上求められるレベルをもって履行し、依頼者の利益を実現する義務を負います。それに加えて、破産手続が、債権者その他の利害関係人の利害や、債務者と債権者との間の権利関係を図ることを目的とする手続である(破産法1条)ことから、破産申立代理人になる弁護士は、依頼者である債務者以外にも多数の債権者や利害関係人の権利関係を適切に調整し、債務者の財産を適正に処理するという役割を担っており、破産目的の実現に資するように行動するという公的な責務も同時に負います(伊藤眞他『条解破産法[第3版]』159頁(弘文堂、令和2年))。
これにより、破産申立代理人は、破産手続を通して、上記義務・責務に基づく行動が要請されます。具体的には、「債務者が偏頗弁済や財産の不当処分等の債権者の利益・平等を損なう行為をしないように指導し、破産財団を構成すべき財産が債務者の行為により不当に減少して債権者に損害が発生しないよう財産保全に努め、可及的速やかに破産手続開始の申立てをして財産を損なうことなく破産管財人に引き継ぐこと」が求められるとされています(田原睦夫=山本和彦監修・全国倒産処理弁護士ネットワーク編著『注釈破産法[上]』112頁(一般社団法人金融財政事情研究会、平成27年))。
事業再生や破産を含む倒産手続は、債権者の理解と協力なしには成功しません。そのため、弁護士は、債権者に「弁護士が就いて公正性・公平性を確保して手続を進めるのであれば、(いろいろ不満はあるが)倒産手続に協力してやろう。」と言ってもらえるように、それにより依頼者(債務者)の選択する倒産手続の成功可能性を少しでも上げることができるように努力しています。破産申立代理人の財産散逸防止義務に関する議論・事例を通じて、私たち弁護士が債権者の理解・協力を得るためにどのような点に注意して努力をしているかを御紹介できればと思います。... ( 続きはPDFをご覧ください)
3. 連載コラム:コロナ禍での倒産案件の動向①―民事再生編(弁護士 宮本 聡)
1 はじめに
新型コロナウイルスの感染拡大が本格化した2020年4月頃は、メディアなどで、2020年は企業の倒産件数が大幅に増加するのではないか、という予測が少なからず見受けられました。
もっとも、実際には、企業の倒産、特に民事再生は大きく減少しました。2020年の倒産動向については民間信用情報機関等で発表されていますが、法的倒産案件の具体的な件数に触れたものはあまりみかけないように思いますので、何回かに分けて紹介したく考えています。今回は民事再生編です。... ( 続きはPDFをご覧ください)