事業再生・債権管理Newsletter 2021年9月号を発行いたしました
2021.09.14
事業再生・債権管理Newsletter 2021年9月号を発行いたしました。
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1. 相殺の担保的機能にはどこまで期待していいのか
~破産法72条2項2号の初の適用例を示した近時の最高裁判決を題材に~(弁護士 岸本 卓也)
第1 はじめに
破産法では、破産債権についての債権者間の公平・平等な扱いを基本原則とする破産手続の趣旨が没却されることのないように一定の場合に相殺を禁止する一方で、相殺の担保的機能に対する合理的な期待が認められる場合にはかかる相殺禁止を解除することとしています。破産法72条2項2号はこうした相殺の担保的機能に対する合理的な期待を保護するための規定の一つであるところ、同規定に関して債権者の相殺権を制限する旨の判示をした高裁判決(福岡高裁平成30年9月21日判決(金法2117号62頁)。以下「平成30年福岡高判」といいます。)を事業再生・債権管理Newsletter2019年8月号にてご紹介しましたが、近時、平成30年福岡高判を破棄自判
し、「真逆の」結論を示した最高裁判決(最高裁令和2年9月8日第三小法廷判決(民集74巻6号1643頁)。以下「令和2年最判」といいます。)が出されました。そこで本稿では、債権者の相殺権保護の範囲の拡張を示唆する令和2年最判を紹介した上で(後記第2ないし第4)、令和2年最判が破産債権者による相殺権の行使の可否ないし限界の議論に及ぼす影響についての若干の考察(後記第5)を行います...(続きはPDFをご覧ください)
2. 産業競争力強化法改正と事業再生ADR・債権譲渡(弁護士 宮本 聡)
1 はじめに
産業競争力強化法等の一部を改正する法案が2021年6月9日に可決成立し、同月16日に公布され一部は公布日に、その他の部分についても8月2日付で施行されました。
バーチャルオンリー株主総会をはじめとして、多岐にわたる今回の産業競争力強化法等の改正ですが、本稿では、事業再生と債権管理に影響のありうる改正点(「債権譲渡の第三者対抗要件の特例」及び「事業再生の円滑化のための事業再生ADRに関連する改正」)にフォーカスして説明いたします。なお、本稿では、ことわりのない限り、改正後の産業競争力強化法を「法」と略しています。... ( 続きはPDFをご覧ください)
3. 中小企業再生支援協議会スキームによる再生支援手続における
プレDIPファイナンス及び商取引債権保護規定の創設(弁護士 北野 知広)
1.産業競争力強化法等の改正
2021年8月2日、「産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律」の一部が施行されました。(https://www.meti.go.jp/press/2021/08/20210802001/20
210802001.html:経済産業省のHP参照)
改正内容は多岐にわたりますが、本稿では、中小企業再生支援協議会(以下「協議会」といいます。)による事業再生支援の機能強化について、取り上げたいと思います。... ( 続きはPDFをご覧ください)
4. 連載コラム:コロナ禍での倒産案件の動向②―破産編―(弁護士 宮本 聡)
1 破産手続の利用状況
2020年に裁判所が受け付けた破産事件の数は全国で78,104件(2019年比2 .6%減)、東京(本庁)で8,807件(2019年比8 .0%減)となっています。東京の8,807件の内訳は法人破産1,438件、個人破産7,369件であり、いずれも2019年比で減少となりました。東京地裁(本庁)の2016年から2019年の破産事件数は年間9,000件台中盤から後半で推移していましたので、2020年の8,807件は大きな減少といえます。減少の要因としては、コロナ禍による影響緩和のための各種公的給付や金融機関による資金繰り支援の浸透等が考えられます。... ( 続きはPDFをご覧ください)